エンジニアが海外で就職するためのルートってどんなものがあるの?どれくらいのスキルがあればよい?海外就職において気をつけるポイントは?
一読者の疑問
この記事ではそんな疑問に答えます。
記事を書いている私は、日系メーカーでエンジニア職を5年経験したのち退職、私費にてMBA留学。留学中にGAFAでのインターンを経験。MBA卒業後はアメリカのGAFA本社でエンジニアとして働いています。現在4年目。
本記事の内容
- エンジニアが海外で就職するためのルート4つ
- エンジニアが海外で働く際に要求されるスキル
- エンジニアが海外就職する際の注意点
私自身アメリカで働いているので、この記事の内容も基本的にはアメリカでの事例をもとにしています。
エンジニアが海外で就職するためのルート4つ
エンジニアが海外で就職する場合のルートは主に以下の4つでしょうか。
- 日本の大学/企業 → 海外現地法人
- 日本の企業 → 日本企業の海外支社
- 日本の大学/企業 → 外資企業の日本支社 → 外資海外拠点
- 日本の大学/企業 → 海外留学 → 海外現地法人
以下でそれぞれについて解説します。
1. 日本の大学/企業 → 海外の現地法人
日本の大学もしくは企業から直接海外の現地法人に就職または転職するルートです。
このルートのメリットは現在の日本の所属から、すぐに海外で働けることです。というのも、これ以降で紹介するルートの多くは、もう少し遠回りします。
直接海外の現地法人への就職・転職を目指す場合のデメリットは、難易度がとても高いということです。
例えば、アメリカの企業に直接採用されたい場合、まず問題になるのがVISAです。
VISAがなければアメリカで働くことが出来ないのですが、このVISAを取得するために必要な書類の準備や申請等に時間とお金がかかります。
通常、このVISAの申請手続きは弁護士がやってくれるのですが、この費用を会社側がサポートする必要があります。
会社側にとってVISAが必要になる候補者は面倒なので、できれば、そういったサポートの必要がない人材を雇おうとします。
ですので、VISAサポートしてでも雇いたい、と思わせるほど周りの人材と差別化を示せる必要があり、その分、難易度は上がるでしょう。
私の周りでも、日本の企業から直接、アメリカの会社に転職してくる方はかなり少数という印象です。日本の大学から直接、となると私の周りではまだ見たことがありません。
難易度は高いですが、とにかくすぐにでも海外で働きたいという方はこのルートでトライしてみても良いかもしれません。
2. 日本企業 → 日本企業の海外支社
これは駐在として海外で働くというパターンです。
メリットは同じ会社ということで環境の変化が最小限で抑えられる、といったことや駐在員へのサポートは充実している、といったことでしょうか。
同じ会社内であれば、会社の仕組みやルールはある程度海外支社でも通用すると思われますし、働き方についてのギャップは他のルートと比較し小さいのではないかと思います。
また、駐在員へのサポート、例えば家賃補助や帰省フライト補助などはその他の海外で働く選択肢と比べて充実していると思います。
一方で、デメリットは、駐在のポストはとても限られている、ということです。
私自身、日本のメーカーで働いていた頃に駐在に憧れていました。
社内でのポストを探していましたが、あまりにも数が少なく限られており、結局かないませんでした。
このまま社内で機会探し続けても、海外で働くことは出来ないと思い、別ルートで海外に出ることにしました。
現在の会社で駐在のポストが期待できる方にとってはとても魅力的なルートだと思います。
3. 日本の大学/企業 → 外資企業の日本支社 → 外資海外拠点
まず、外資企業の日本支社に就職もしくは転職し、その後、その外資企業の海外の拠点に異動するパターンです。
メリットは直接、海外の本社へ就職・転職する場合と比べて、いくらか難易度が下がるということではないでしょうか。
外資の日本支社に入社すること、そこから海外の拠点に異動すること、それぞれのステップは簡単ではないと思いますが、日本にある別会社から直接海外の会社に入社するよりは難易度は下がるはずです。
一度、日本支社に入社すればプロジェクトを通して海外の拠点との関係を構築することも不可能ではないはずです。
海外の拠点との信頼を構築できれば、VISAをサポートしてでもきて欲しい、と異動を後押ししてもらえる可能性があります。
私の周りでも、まず日本の支社に入社し、その後、アメリカの本社に異動、というケースはいくつも見ています。
デメリットとしては、外資の日本支社への入社がそもそもハードルが高い、海外で働くまで時間がかかる、不確実性が高い、といった点でしょうか。
日本支社を持つ外資企業は比較的大手なので、人気も高く、就職難易度は比較的高いかもしれません。例えば、グーグル、アマゾン、アップルなどです。
また、日本支社を経由して、となると数年単位で時間もかかる可能性があります。
また、入社前には日本支社と海外拠点の関係性は分かりにくく、日本支社から海外拠点への人材の異動があり得るのか分かりません。この点、このルートには不確実性があります。
ですので入社前にその辺りのリサーチをしておく必要があるでしょう。
時間がかかってでも少しずつ海外就職に近付きたい方、もしくは日本支社でも良いので外資で働きたい方、英語を使って仕事をしたい方には良い選択肢かもしれません。
4. 日本の大学/企業 → 海外留学 → 海外現地法人
日本の大学もしくは企業から、海外に留学し、そこで就職活動をして海外現地の会社に入社するルートです。
私自身はこのルートで海外就職することが出来ました。
メリットは海外留学中に現地で就職活動ができることや、アメリカであれば就労VISAが期間限定ではありますが、取得できることです。
デメリットはお金と時間がかかることです。
私は留学前の貯金がほぼ全てなくなりました。
また、留学そのものに2年間費やしましたし、留学の準備を含めるとさらに2年間、合計で4年ほどかかりました。
時間やお金が多少かかっても良い、という方や、留学そのものに興味がある方にはお勧めのルートです。
エンジニアが海外で働く際に要求されるスキル
海外で働く際に要求されるスキルとして以下の3つを取り上げます。
- 専門性
- 英語力
- 根性
・専門性
エンジニアとして働くのであれば専門性がまず第一に求められます。
もちろん専門性が高ければ高いほど良いです。
しかしながら、海外で働く全てのエンジニアがものすごい優秀かというとそうでもないと思います。
例えば日本でエンジニアとしてそこそこ出来ているのであれば、業種や分野によっては世界でも重宝される可能性があります。
現に、私自身も専門性にそこまで自信があったわけではありませんが、海外就職することが出来ました。
働き始めるまではかなり不安がありましたが、いざ働いてみると、周りのレベルがとんでもなく高くてついていけない、というほどではありませんでした。
専門性がとてつもなく高くないと海外でやっていけない、ということでもないので、日本でそこそこやれていて海外で働くことに興味があるのであれば、トライしてみるのもアリだと思います。
・英語力
英語力としましたが、英語圏での場合です。働きたい国が英語圏でない場合はその国の言語でしょうか。
私はアメリカに就職したので英語に関して述べます。
どれくらいのレベルが要求されるかは、その業種・職種・会社・部署にもよると思いますが、私の個人的な感覚は
- TOEICで900点以上
です。
この数字はなんとか仕事をこなせる最低ラインというイメージです。
実際に900点ちょうどの人が英語圏で仕事をする場合、すぐにクビにはならないが相当苦労する、という感じかと思います。
もちろん、ポジションや役割によって要求されるレベルは変わるので、この数字は絶対ではありません。
いずれにしても、英語力に関してもTOEIC 900程度あればなんとかなる可能性があるので、無理だと決めつけずに挑戦するのも大事だと思います。
・根性
専門性も英語力も自信がなければ根性でなんとかしましょう。
海外で働いてみると分かりますが(少なくともアメリカで働いてみると)、日本人はやはり愚直で真面目で根性があると感じます。
仕事を責任を持ってなんとかする、という気持ちがあればやっていけるでしょう。
私がGAFAでインターンをした際もそんな感じでした。
当時は専門性もそこまでなく、英語でも苦労していました。
しかし、インターン期間中になんとか成果を残すという気持ちは周りよりあったと思います。
平日も夜遅くまで、また休日も投入してなんとか期間内にそれなりの成果を残すことが出来ました。
しかし、血尿が出るとか、血を吐くとかそういうレベルまで追い込んだわけではありません。それなりにしっかりやったというレベルです。
それでも、周りからは、とてもハードワークしていた、と写っていたようです。
おそらく、日本で働いている方の多くは当時の私のインターンの働き方よりもハードに働かれていると思います。
でも、海外では日本の働き方のスタンダードはとても高く映ることもあります。
そういった働き方の面で専門性や英語力を補って、組織に貢献するというアプローチもあります。
エンジニアが海外就職する際の注意点
ここでは海外就職する際に気をつけるべき点について触れます。主にアメリカを意識して書いていますが、どの国で働く場合でも同じように気をつけるべきポイントがあります。
- VISA
- 家族のサポート
- 食事
・VISA
その国での就労VISAがなければ働くことが出来ません。詳細は国ごとに違うので調べてみてください。アメリカであれば以下のようなVISAがあります。
- H-1B VISA
- E VISA
- L VISA
- O VISA
- F VISA (OPT)
- J VISA (OPT)
VISAがなければ合法的に働くことが出来ないので最重要な要素です。そして、このVISAというのは、申請すればもらえる、というようなものではありません。
・家族のサポート
家族がいる場合は、その家族の理解・協力が重要なポイントになります。
海外で一緒に暮らす場合、海外就業がうまくいくかどうかは家族が海外現地に馴染めるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。
私の周りでも、家族が生活に馴染めずに、帰国を余儀なくされた、というケースを聞くことがあります。
幸い、私の場合は妻、子供ともに海外生活に前向きで、なんとかうまくいっています。
家族がいる方で海外での生活をしたい方は早い段階で、家族の意思を確認しておいた方が良いかもしれません。
・食事
食事も意外と大事です。
海外で暮らす人たちの不満の半分ぐらいは食に関することといっても過言ではないかもしれません。。
アメリカであれば、日本人が多く住むエリアであれば日本食も手に入りやすいですので、良いかもしれません。
一方で日本人が少ないエリアですと、現地の食事に慣れていく必要があるでしょう。
日本のものへのアクセスのしやすさは、基本的にはその地域にどれくらい日本人が住んでいるかによります。
海外で働く場合にはその辺りも考慮すると良いです。
まとめ
いかがだったでしょうか。海外就職について参考になりましたでしょうか。
以下、この記事のまとめです。
- エンジニアが海外で就職するためのルート4つ
- 日本の大学/企業 → 海外現地法人
- 日本の企業 → 日本企業の海外支社
- 日本の大学/企業 → 外資企業の日本支社 → 外資海外拠点
- 日本の大学/企業 → 海外留学 → 海外現地法人
- エンジニアが海外で働く際に要求されるスキル
- 専門性
- 英語力
- 根性
- エンジニアが海外就職する際の注意点
- VISA
- 家族のサポート
- 食事
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